不動産売却後におこなう確定申告とは?必要書類・手続き方法を解説

不動産売却後におこなう確定申告とは?必要書類・手続き方法を解説

不動産売却では、代金を受け取るだけでなく、さまざまな出費が発生します。
税金は不動産売却にかかる費用のひとつですが、確定申告が必要であることをご存じない方がいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、不動産売却後におこなう確定申告とはどのようなものなのか、確定申告の必要書類と手続き方法を解説します。

不動産売却後に必要な確定申告とは

不動産売却後に必要な確定申告とは

会社員で給与所得がある方は、確定申告がどのようなものかご存じないかもしれません。
まずは、確定申告とはどのようなものなのか、具体的な内容をチェックしてみましょう。

確定申告とはどのようなもの?

確定申告とは、1年分の所得税を納めるために、自己で計算し書類を提出する手続きのことです。
所得税の対象となるのは、会社員の給与所得や不動産の売却による譲渡所得などです。
会社員の給与所得については、勤務先で天引きや年末調整がおこなわれるため、原則として自分で確定申告をおこなう必要はありません。
一般的には、確定申告をおこなうのは、勤務先で天引きや年末調整がおこなわれない個人事業主などです。
ただし、会社員であっても、不動産を売却して得た譲渡所得にかかる所得税については、勤務先で天引きや年末調整ができないため、自己で確定申告をおこなう必要があります。

どのような場合に確定申告が必要になる?

不動産を売却した翌年には原則として確定申告が必要ですが、すべてのケースで確定申告が必要になるわけではありません。
不動産売却後に確定申告が必要となるのは、不動産を売却して利益を得た場合です。
不動産の売却益とは、売却代金そのものを指すのではなく、経費などを差し引いた後の利益を指します。
不動産の売却代金から購入費用や売却にかかった費用を差し引いて残りがプラスであれば、確定申告が必要です。
また、不動産の売却で赤字が発生した場合にも、確定申告をおこなうことがあります。
利益がなければ所得税は発生しませんが、確定申告をおこなうことで税負担を減らすことができます。
不動産の譲渡損失が発生した場合、譲渡所得にかかる所得税がゼロになるだけでなく、給与所得など他の所得から赤字を差し引くことが可能です。
このように、他の所得から不動産売却の損失を差し引くことを損益通算と呼び、1年で控除しきれない場合は、翌年以降3年間まで繰り越して控除できます。

確定申告の流れ

確定申告の前には、計算に必要な書類を揃えておきます。
必要書類の準備と合わせて、税金面で優遇される特例が適用されるか確認しておきましょう。
実際に所得税を計算する際には、不動産の所有期間に応じた税率を使用することが重要です。
所有期間が5年以下の場合には短期譲渡所得となり税率が高くなりますが、所有期間が5年超の長期譲渡所得の場合、税率が低くなります。

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不動産売却後の確定申告における必要書類

不動産売却後の確定申告における必要書類

確定申告では、さまざまな書類を揃える必要があります。
確定申告に間に合わないなどのトラブルを防ぐには、あらかじめどのような書類が必要かをチェックしておくことが大切です。

必要書類①税務署で入手するもの

確定申告に必要な書類の中で、税務署で入手するのが確定申告書です。
確定申告書第一表・第二表は年間の所得を申告するための書類で、確定申告書第三表は不動産の譲渡所得に関する情報を記載する書類です。
また、確定申告書とともに譲渡所得の内訳書が必要になります。
譲渡所得の内訳書は、不動産の購入金額、売却金額、経費などを記載する書類です。
譲渡所得の内訳書は、不動産の売却後に国税庁から送付されるほか、確定申告書とともに自分で国税庁のホームページからダウンロードできます。

必要書類②不動産購入当時の書類

確定申告で所得税の対象となるのは、さまざまな経費を差し引いた後の利益です。
そのため、必要経費を正確に算出するためには、不動産購入時の書類が必要です。
具体的には、不動産購入時の売買契約書のコピーや仲介手数料の領収書のコピーなどが必要となります。
また、不動産取得税、登記費用、測量費用なども経費として差し引くことができるため、それぞれの金額を証明する書類を探しておきましょう。

必要書類③不動産売却時の書類

不動産売却にかかった経費を差し引くためには、購入時の書類だけでなく、売却時の書類も揃えておく必要があります。
不動産売却時の売買契約書のコピーや仲介手数料の領収書のコピーなどは、確定申告に必要ですので、わかりやすく整理しておくことが望ましいです。
また、建物を解体してから売却した場合には、その費用を経費として差し引くことができるため、領収書のコピーを保管しておいてください。

そのほかの必要書類

そのほかに確定申告で必要となるのは、不動産の所有者などの情報が記載された登記事項証明書です。
こちらは、法務局の窓口またはオンラインで請求できます。
また、源泉徴収票やマイナンバーカードなどが必要になる場合がありますので、自分に必要な書類を確認しておきましょう。
会社から給与を受け取っている場合、源泉徴収票が必要です。
源泉徴収票自体は提出しませんが、確定申告の際に源泉徴収票を参照する必要があります。
国税庁のホームページからe-Taxで確定申告をおこなう場合、マイナンバーカードが必要です。
マイナンバーカードがなくてもe-Taxは利用できますが、その場合、税務署での本人確認が必要となります。

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不動産売却後におこなう確定申告の期間・場所

不動産売却後におこなう確定申告の期間・場所

計画的に確定申告の作業を進めるには、確定申告の期間と場所を知っておくことがポイントです。

確定申告の時期

不動産売却後におこなう確定申告は、不動産を売却した翌年の2~3月におこなわれます。
具体的な時期は毎年決まっており、基本的には2月16日から3月15日までです。
ただし、年によっては曜日の兼ね合いで期間がずれることがあるため、正確なスケジュールは国税庁のホームページなどで確認することをおすすめします。
不動産を1月に売却した場合、確定申告まで1年以上間が空くため、忘れないように注意が必要です。
反対に、12月に不動産を売却した場合、確定申告まで2か月ほどしか期間がなく、書類準備などで忙しくなる可能性があります。
いずれにしても、確定申告の期間を把握したうえで、期限に遅れないように書類の準備や作成を計画的に進めることが重要です。

確定申告の場所

確定申告書を持参して手続きをおこなう場合、提出先は居住地の税務署です。
売却した不動産があるエリアの税務署に提出すると思われるかもしれませんが、税金を支払う方の居住地にある税務署で手続きをおこないます。
また、税務署へ持参するのではなく、郵送で確定申告をおこなうことも可能です。
確定申告の時期は税務署の窓口が混雑するため、郵送での手続きを検討することをおすすめします。
さらに、より簡単に確定申告をおこなう方法として、国税庁のホームページでの電子申告があります。
インターネットからの手続きはe-Taxと呼ばれ、事前に準備を済ませておく必要があるでしょう。

住民税の納付時期

不動産を売却して利益を得た場合、不動産の売却益にかかる所得税を確定申告で納めるほか、住民税の金額も増加します。
所得税は確定申告のタイミングで納めますが、地方税である住民税は一般的に6月頃から支払いが始まります。
不動産の売却後には所得税と住民税がかかりますが、納税時期に違いがあることに注意する必要があるでしょう。

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まとめ

確定申告とは、勤務先の天引きなどが利用できない場合に利用するもので、不動産売却で譲渡所得を得た場合などに必要になります。
不動産売却後の確定申告では、確定申告書などを自分で用意するほか、不動産を購入した当時の書類・売却時の書類を探しておきましょう。
確定申告の時期は毎年2月16日~3月15日で、居住地の税務署または国税庁のホームページでおこないます。


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