不動産売却におけるインスペクションとは?メリットや費用負担をご紹介

不動産売却におけるインスペクションとは?メリットや費用負担をご紹介

不動産を売却する際は、買主に不動産がどのような状態にあるのかを伝える必要があります。
その際に役立つのが、不動産のインスペクションと呼ばれる調査です。
今回は、不動産売却におけるインスペクションとは何か、インスペクションのメリットや必要な費用についてご紹介します。

不動産売却におけるインスペクションとは

不動産売却におけるインスペクションとは

不動産売却の際は、その不動産がどのような状態にあるのかをすべて買主に告知うえで、購入するかを判断してもらう必要があります。
引き渡し後に瑕疵が発覚すると、売主は契約不適合責任を問われて損害賠償請求を受ける可能性が高いです。
そのため、不動産を売却する前にはインスペクションを実施し、不動産に瑕疵がないかを調査するのが望ましいでしょう。
インスペクションとは、国の定めた既存住宅状況調査方法基準にしたがっておこなう不動産の調査のことです。
専門の技術と資格を持った調査員が、不動産の現状を調査します。

不動産会社はインスペクションの説明と斡旋が義務化されている

インスペクションの実施は、売主にとっての義務ではありません。
そのため、インスペクションを実施していない不動産であっても、そのまま売却はできます。
一方で、不動産会社は、売主側にインスペクションについて説明し、必要であれば業者を斡旋するよう義務化されているのが特徴です。
また、買主側にも重要事項説明でインスペクションについて説明し、該当の不動産における実施の有無や結果を伝えなければなりません。

インスペクションを実施するタイミング

インスペクションを実施するタイミングは、誰がインスペクションを実施するのかによって異なります。
不動産に対するインスペクションは、売主主導でも買主主導でもおこなうことが可能です。
売主主導で実施するのであれば、不動産会社と媒介契約を結んだ直後、売却活動の開始前におこないます。
買主主導が実施するのであれば、購入の申し込みである買付証明書を提出したあとが一般的です。

インスペクション実施前の流れ

インスペクションを実施する際は、まず不動産会社からの査定を受けて、不動産売却の媒介契約を結びます。
媒介契約とは、不動産取引の仲介を不動産会社に依頼するための契約です。
媒介契約を結ぶ際に、インスペクションに関する説明があるため、必要だと感じたら事業者を紹介してもらって実施しましょう。
不具合がなく調査に合格すれば、そのままで構いませんが、不合格であれば修繕が必要になります。

不動産売却におけるインスペクションのメリット

不動産売却におけるインスペクションのメリット

不動産売却の際にインスペクションを実施しておくと、さまざまなメリットが生まれます。
そのメリットにより、不動産売却がスムーズになる可能性もあるでしょう。

買主に安心してもらえる

インスペクションを実施するメリットは、買主に安心して物件を購入してもらえることです。
買主としては、何の調査もおこなっていない不動産には、どのような不具合が隠れているか分かりません。
引き渡し後に不具合が発覚すると、不利益を被ることになるため、リスクのある不動産は避けたくなります。
インスペクションを実施していれば、そのような心配をすることなく、不動産を購入できるでしょう。
とくに、インスペクションに合格している不動産は、大きな不具合がないことを示しているため、購入に前向きになりやすいです。

不動産の不具合や現状を把握できる

インスペクションを実施すると、不動産の不具合や現状を把握できます。
不具合が発生している不動産であっても、その内容を把握できているのとできていないのとでは大きな差があります。
不具合の内容までしっかり把握していれば、どのような修繕をおこなったら良いのかが分かるためです。
把握できた内容は、そのまま買主に伝えることができ、それに対してどのような修繕をおこなったかもアピールできます。
不具合の詳細が分かっていたほうが、かえってそれに対する対策をアピールする機会にもなるというメリットがあるのです。

トラブル防止になる

インスペクションを実施すれば、不動産の引き渡しに伴うトラブルの防止になります。
不動産の不具合があるにもかかわらず、それが分かっていない状態で物件を引き渡すと、あとからトラブルになる可能性があります。
売主には、不動産に対する契約不適合責任があるため、契約時に説明した状態と異なる状態で引き渡すことができません。
引き渡し後に瑕疵が発覚した際は、この契約時の説明と異なると判断されるため、損害賠償請求の対象になります。
インスペクションを実施しておけば、どこにどのような不具合が発生しているかを知ったうえで、適切に告知できる可能性が高いです。
しっかり不具合について告知し、あとからトラブルになるのを防げます。

不動産売却時にインスペクションをおこなうための費用

不動産売却時にインスペクションをおこなうための費用

インスペクションは、不動産売却時に任意でおこなう調査であり、依頼の際は費用が発生します。
売却に伴ってインスペクションをおこなう際の費用の相場は、5万円程度です。
ただし、どのような不動産に対してインスペクションを実施するのかによって、実際にかかる費用は異なります。
マンションへのインスペクションであれば5万円が相場ですが、一戸建て住宅は広さに応じてかかる費用が上下するのです。
一戸建ては面積が広くなるほど、インスペクションにかかる費用も高くなります。
この費用については、インスペクションを実施するのが売主であれば売主が、買主が希望するのであれば買主が負担するのが一般的です。

インスペクション費用の内訳

インスペクションの費用には、さまざまな費用が含まれています。
調査員への人件費や交通費、調査に使う機器の損料、報告書などの書類作成コスト、事務手続きのコスト、広告宣伝費などです。
調査に使う機器は、使うほどに寿命が縮まっていくため、その分の費用を請求されます。
オプションで高額な機器を使用したり、床下や天井裏などまで入り込んで調査してもらったりした際は、さらに費用がかかるでしょう。

インスペクションの調査をおこなう調査員とは

実際にインスペクションの調査をおこなうのは、既存住宅状況調査技術者と呼ばれる調査員です。
既存住宅状況調査技術者は、既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士しかなれません。
インスペクターとも呼ばれ、国の定める基準にしたがって講習を受け、国の登録を受けて活動する必要があります。
不動産会社は、この既存住宅状況調査技術者をインスペクションを希望する売主や買主に斡旋するよう義務付けられているのです。

インスペクションはどちらがおこなっても構わない

不動産売却時のインスペクションは、売主・買主のいずれも実施可能で、どちらがおこなっても問題ありません。
売主が実施していなければ、買主が申し出ておこなえ、二重に調査することも可能です。
ただし、買主が調査を依頼する際は、売主の了承が必要になります。
売買契約が締結され、不動産が引き渡されるまでは、その不動産は売主のものですので、勝手な調査はおこなえません。
一方で、買主からインスペクションの申し出があった際は、購入の不安を軽減するためにも応じたほうが良いでしょう。
インスペクションを実施しておいたほうが、スムーズな取引が可能になります。

まとめ

不動産売却におけるインスペクションは、専門家に不動産に不具合がないかチェックしてもらう調査です。
インスペクションをおこなっておけば、不動産の状態を把握して必要であれば修繕するなど、買主にアピールできます。
必要な費用は、物件の種類や広さによっても異なり、売主と買主どちらが依頼するのかによって、負担も変化するのが特徴です。


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